濱田明日香さんの本『ピースワークの服』から、以前作った四角いコートのお話。
四角いパーツを服にする


このコートを本で見つけたとき、一目で作りたいと思いました。
四角いパーツを洗練されたバランスでつなぎ合わせて、ちょっとしたパズル感覚でコートにする。
シンプルなようで、独特な構造。
計算されいて、天才だなと思いました。
好奇心をくすぐられて、普段はあまり着ないロングコートに、迷わず挑んでしまいました。
カツラギで描く自分色のパレット
ほんとは配色もこのまんま欲しかったのですが、私はデニム色のアイテムを結構持っているし。
自分なりの色合せを試行錯誤する過程も、このコートの醍醐味だと考えたので、カラー選びから楽しむことにしました。
素材は、デニムのような丈夫さと近しい風合いの生地をと、カツラギを使うことに決めました。
パッと目を引くかわいいピンクをメインに、ベージュとブラウンで全体をまとめることにしました。
いくつかカラーパターンのアイデアはあったのですが、カツラギが醸す色味のニュアンスにしっくりこないものもあって、この3色になりました。
それが、きっと最善の出会いになったのだと思います。

主役になれるロングコート


もともとブラウンは苦手な色です。
マゼンタピンクの鮮やかさを生かすため、あえて苦手意識のあったブラウンで引き締めました。
単なるかわいいを通り越して、知的でモードな印象を与えてくれているのではないでしょうか。
この2色の温度差をベージュが仲裁していて、視覚的によいリズムが生まれていると思います。
また、ピンクをアクセント使いにせず、左右のポケットを含め、一番多く面積を取りました。
派手すぎるかなとも思いましたが、残りの2色が何とかしてくれるだろうと全幅の信頼を置いた末、大人のポップに仕上がりました。
縦ラインを協調してスマートに見せつつ、心地いい程度のアシンメトリーさで大人の遊び心を昇華させている。
デザインに著者の緻密なバランス感覚が溢れていて、ときめきを感じます。
ピースがぴったりとはまったような快感が、そこにはありました。
コートとパンツの強い絆
いざ、パンツと合わせて表に繰り出した瞬間。
コートとパンツがガッチリと絡み合い、一歩踏み出すごとに裾が脚にまとわりついて離れないのです。
裏地をつければ解決する?いいえ、このラフな四角いフォルムに裏地は野暮ったい。
腰から下だけ付ける?裾が翻ったときに見える裏地は、この潔いデザインを台無しにしてしまう。
さらに言えば、滑りをよくし過ぎると、今度は肩からズルリと落ちてしまいそう。
改善策はありません。
結局、なるべくしてなったこのコートの個性なのだと、受け入れることにしました。
不自由だけど、私らしい一着です。
そんなわけで、ちょっと困った絆とともに、今日もゆっくりと歩いているのでした。



敗因はカツラギにありなのか?
生地表面の凹凸が、相手繊維をより強く捕らえてしまう印象はありますね
