嶋﨑隆一郎さんの『男のエプロンの本』。

私のお気に入りの洋裁本の一つです。
工程が本格派で、エプロンと言えど気軽に作り難く、ちょっとした覚悟が必要です。
こちらの本から、頑張ってチョイスしてみました。
名作パターン × 禁断のパンツ
選んだのは、「サバイバルエプロン」。

ウエストポーチ的ですが、ここに敷き詰められた立体ポケットが、ポケット好きとしてはたまらないデザインです。
生地をどうしようと考えたときに、ふと思い出しました。
古着屋さんで見つけた、ゴールドの悪趣味なブランドパンツ。
やりすぎなくらいのベルボトムで、ゴールドで、変に伸びるし。私にとっては意味不明でした。
ただ、こんな生地を探そうとすると、なかなか見つかるものでもないと思いました。
完全な布目的で、家に連れ帰ったのでした。
このエプロンを作るには、初めからどこか味を持った生地をぶつけたかったため、それをリメイクすることにしました。
サバイバルエプロンという硬派なデザインを、軟派なゴールドのパンツで形にします。

パンツ一本知恵比べ
パターンをあてがっても、パーツがすんなり取れそうにありません。
うまくつなぎ合わせても、面積が十分に取れるか微妙なところ。
解いてみたとて生地の癖が強すぎて、縫い代の一部が使い物になるのかも危ういです。
ポケット用を死守して、残りはつぎはぎ上等で進めることにしました。
生地を分解しない方が、かえって用尺効率がいいような気がして、縫い合わせもろとも使うことにしました。
どうしても不足したフラップとループの裏は、買い足したゴールドのツイルで補いました。
生地は頼りないストレッチ素材なので、全面芯貼りです。
地味で面倒な作業だった上、ねじれはキツいし縫い代部分は浮くしで、パリッと貼り付いてはくれませんでした。
完成前のサバイバル


なかなかの難産でした。
想定外の厚みに出くわして、ドットボタンの打ち込み位置をギリギリまでずらす羽目に。
土台のつぎはぎがノイズになって、ポケット位置を確認するのに混乱もしました。
無数にハトメを打ち付ける作業も、緊張感がありました。
一発でも打ち損じがあってはいけません。まさに気分はサバイバルです。
面ファスナーも、慎重に測って付けました。
分厚いテープにも、力を込めてミシンを走らせました。
これだけの大仕事、達成感もひとしおです。
出来上がったエプロンは、色味もボリューム感も、個人的に気に入っています。
バッグとして日常使いをするのもいいし、仕事中にも便利な道具入れエプロンとして着けていてもよさそう。
(デスクワークなので、少々大げさかもしれません。)
ポケットにステッチをかけてみたのですが、生地のぐにゃぐにゃ感を無理やり固めたような違和感しかなく、見本のようにはいかなかったので、こちらは即座に外しました。
最大の愛着

ひそかな喜びは、ばらしきれなかったパンツのサイドポケットにあります。
不安定な布の重なりが気になるので、完全に分解してしまいたかったのですが、ジーンズによくある、ポケットの凸みたいなやつが全然取れなくて、解体がうまくいきませんでした。
中途半端にかわすことを考えるより、まるごと組み込むことにしました。
土台の内側に、自分だけの秘密のポケットとパンツの名残。
こうした思わぬ副産物も、リメイクの楽しさなのでしょう。
ヘロヘロ感の美学
新品の輝きではなく、最初から使い込まれたようなこなれ感。
芯を貼っても、さほどシャキッとしないこのクタっと感。
ヨレヨレなくせに、伸ばしても伸びようとしない意志の強さ。
それが、この黄金サバイバルエプロンに、ギラギラしすぎない独自の風格を与えてくれています。


ポケットいっぱいだけど面ファスナーで使い勝手がよいよ
ラフでかっこいいね
※着画イメージはAIで生成しています
