濱田明日香さんの本『甘い服』の中から、過去に作った「ランタンスリーブのドレス」のお話です。
- 最大の特徴は、ランタンのような立体的な袖のデザインです。独特の切り替えによってボリュームが生み出され、腕のラインを拾わずにモードな印象を与えてくれます。
- リラックスして着られる絶妙なサイズ感と、ウエスト部分のゴムによりシルエットにメリハリが生じ、スタイルアップを両立させる工夫が施されています。
- 裾に近い部分に水平の切り替えラインがあり、シンプルなAラインに程よい重厚感とアクセントを加えています。
あえての8号帆布
サイズ感を確認したくて、簡単に仮縫いをしました。
程よいゆとりにちょうど良いシルエットで申し分なかったのですが、そんなことよりときめきポイントが。
袖のカタチとボリューム感に、釘付けになってしまいました。

これはわたし的に、ハリのある生地で、この形状をしっかり保ちたくなるやつです。
そこで、生地をニューバッカスにしました。
その名前に惹かれて決めたのですが、つまりは8号帆布に近い厚みの、キャンバス素材のようです。
ワンピースにはちょっと硬めかなと思いましたが、袖の立体感重視です。
パンとパン屋とパン好き女子と
ネットで取り寄せた生地は、マスタードかと思っていたらもっとブラウン寄りで、こんがり焼けた小麦のようでした。
袖の膨らみが、美しいくらいのふっくら加減なので、もはやパンとしか思えなくなりました。
ワンピースのシルエットが、やさしく包み込む割烹着に見えてきて、もっとわかりやすくパン屋さんということにしてしまおうと、さらにエプロンを付けることにしました。
お袖のふんわりさとワンピースのかわいさが、さしずめロマンティックなパン好き女子というところでしょう。
発想がまとまるような散らかっていくような。
パンとパン屋さんとパン好き女子という、私の身勝手なイメージを詰め込んだワンピースにすることにしました。
ニュウバッカス / 125.キャメル
okadaya / コットンツイル / 9.ブラック
ソムリエエプロンをドッキング
そうと決まれば、作業する人感をさらに色濃くするための、ワンピースにエプロンを繋ぐ作戦の開始です。
そこで参考にしたのが、島﨑隆一郎さんの著書『男のエプロンの本』の中の「ソムリエエプロン」でした。
形やバランスは元の作図(デザイン)の美しさをそのまま活かしつつ、今回のワンピースに馴染むようサイズを微調整。
素材には、少し光沢感のある上品でタフなコットンツイルを選びました。
ちなみに、元のワンピースのパターンにあったウエストのゴムは、あえて通さずいきます。
なぜなら、そのウエスト部分こそがエプロンと合体する運命の場所だから。
エプロンの紐がキリッと巻き付く位置でもあるため、ソムリエエプロンが持つ本来の凛とした美しさを邪魔しないよう、あえてフラットに仕上げることにしました。
こんがり焼けました
こうして、私の無理やりな妄想とこだわりを詰め込んだワンピースが、ついに焼き上がりました。


実際に持ってみてまず思ったのは、ワンピースってこんな重いんだっけ……?ということ。
なにせ生地は8号帆布クラスの厚みです。そりゃそうでした。
けれど、いざ袖を通してみると驚きました。
生地の圧倒的なハリによって、服の内側にしっかりとした空間がキープされるため、肌にまとわりつかず、意外にも着心地はとても軽やかなのです。
見た目の重厚感を和らげるために、スカート丈は私が着たときに一番バランスがよく、足元がすっきり見える長さに少し短く調整しました。
この生地の重さに負けないための引き算です。
袖の張り出し具合は思惑通りで、言うまでもなく気に入っています。
このワンピースのサイズ感は、個人的にとても好きです。
ウエストを絞らなくてもゆったりしすぎることもなく、素敵なシルエットを出してくれるので、別のものにも応用したいパターンです。

実用性はさておき、ものづくりは自由なのだ
8号帆布に近いキャンバス地でつくるワンピース。
実用的かどうかはいろいろな面で一回置いておく必要があります。
生地がどっしりとしているので、直線は気持ちいいくらい縫いやすい半面、重なる部分は硬くて疲れたりと、縫いにくさもありました。
それでも、この一着を仕立て上げる時間は、すごく楽しかったです。
当初のモードなランタンスリーブから始まり、割烹着っぽいかも?という思いつきを経て、ソムリエエプロンを纏ったパン屋さんへ強引に着地させる。
テキスタイルとパターンの掛け合わせが生んだこの3つの顔は、型紙通りに作るだけでは生まれなかった一着です。
次はどんな美味しい妄想に出会えるかな。

誰向け?

うーん
やっぱりパン屋さんに着てほしいかな
※着画イメージはAIで生成しています
